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QGIS
第2回 座標参照系(CRS)とは? - QGIS での CRS の選び方 -
前回のおさらい
前回は座標参照系(CRS:Coordinate Reference System)について、図を用いてご紹介しました。CRS には大きく分けて2種類あり、地球を球体とみなした「地理座標系」と、地球の一部を平面に投影した「投影座標系」があります。
今回は、実際に QGIS を使用する際の CRS の選択について、正しく設定した場合と間違った CRS を設定してしまった場合の比較と確認をしていきます。
データ(レイヤ)の CRS の選び方
QGIS では、「① データ(レイヤ)の CRS 」と、「② プロジェクトの CRS 」の2つの設定があります。今回は、「① データ(レイヤ)の CRS 」を例に CRS の選び方をご紹介していきます。
前回、東京スカイツリーを例に座標値を下表で比較しました。表を見てわかるように、同じ位置でも CRS によって座標値が全く違う値であることが分かります。
東京スカイツリーの位置
住所 | 東京都 墨田区 押上1丁目1−2 |
---|---|
地理座標系(*) | 北緯 35.71034 度 東経 139.8112 度 |
投影座標系(**) | X - 32167.859 m Y - 2046.668 m |
(*) JGD2011 の場合(住所からCSVアドレスマッチングサービスを利用して座標値を出しています)
(**) JGD2011 / 平面直角座標系 第IX系の場合
それでは、実際に QGIS へ東京スカイツリーの位置を表示していきましょう。下図の青色(上:JGD2011)や赤色(下:JGD2011 / 平面直角座標系 第IX系)のピンが東京スカイツリーの位置を示しています。こちらの図では、正しい CRS が設定してあるので、背景地図の東京スカイツリー上にピンが正しく表示されています。
(背景地図は、2018年3月に撮影した朝日航洋の good-3D (外部サイト) オルソを使用しています)
間違った CRS を選んでしまうと?
では、データの表示がうまくいかない場合、QGIS では何が起きているのでしょうか? ためしに、上図の青色の東京スカイツリーの CRS を、「JGD2011(緯度経度)」から、違う「JGD2011 / 平面直角座標系 第IX系(メートル)」に設定してみます。
※データの CRS を別のものに変換したい場合は『座標変換』を行ってください。座標変換の手順は、レイヤを右クリック ▶ エクスポート ▶ 地物の保存 から行います。
ピンの場所へ表示をズームしてみると(下図参照)、違う場所へと移動してしまいました。これは、データが持っている緯度経度の座標値が、今回 間違って設定した平面直角座標系(IX系)の原点からの座標値の位置に表示されてしまったためです。
各 CRS にはそれぞれ原点があり、その原点から何度、あるいは何メートルなどの位置にあるのかデータに記録されています。今回 確認したように間違った設定をしてしまうと、本来データが作成された範囲とは違う場所に表示されてしまうので、正しい CRS を設定することが QGIS に慣れる第一歩となります。
背景地図:地理院地図(外部サイト)、図:わかりやすい平面直角座標系(外部サイト)
CRS に関するくわしい解説は、下記の参考サイトをあわせてご確認ください。
・日本の測地系(国土地理院(外部サイト))
・JIS X 71111(外部サイト)
・日本測地系2011(JGD2011)とは?(空間情報クラブ(外部サイト))
次回は
今回は「データの座標参照系(CRS)」の選択方法について、正しい場合と間違った設定をしてしまった場合の比較をご紹介しました。
次回は、今回紹介しきれなかった「プロジェクトの CRS 」についての紹介を予定しております。