QGIS

すごいぞ!Flatgeobuf

QGISで使用するデータファイルとしてシェープファイルが一般的ですが、最近は国土交通省の国土数値情報や、法務省の登記所備付地図などシェープファイルの他に、Geojson形式のファイルも提供されています。

シェープファイルは、Esri 社が策定したデータ相互交換に最適なシンプルなデータフォーマットで、仕様が公開されているため、現在でもArcGIS製品やQGISその他多くの GIS ソフトウェアの間で幅広く利用されています。

Geojsonファイルも仕様が公開されていますが、シェープファイルとの違いは、特定の企業ではなく、世界各地の開発者が共同で開発されたもので、データファイルの内容をテキストエディタなどで確認できるという点などが認められ、誰もが自由に利用できるオープンデータ公開形式として利用されています。

QGISのレイヤの1つをシェープファイルに、もう一つをGeojsonファイルにエクスポートして比べてみると、シェープファイルは、shp、shx、dbf、prj、qpjという5つのファイルで構成されるのに対して、Geojsonファイルは1つのgeojsonファイルであることがわかります。GISファイルの扱いに慣れていない方にとっては、Geojsonファイルの方が扱いやすいかもしれません。

一方で、ファイルの大きさを見ていただくと、テキストで記述されているGeojsonファイルはシェープファイル群の数倍の大きさになるので、広い範囲の大きなデータを扱うにはGeojsonファイルは不向きです。またQGISでの表示速度もシェープファイルより遅くなるので、データファイルをガンガン使う方には、サイズと処理速度の面でシェープファイルの方が使い良いかもしれません。

さあ!ここに登場したのが、Flatgeobuf形式です。

Flatgeobufファイルは、テキスト表示のgeojsonを、コンピュータで処理しやすいように数値表示に変えた(バイナリ)形式で、ファイルサイズの縮小と、処理速度の向上が図られています。処理速度に関してはシェープファイルよりも速いと実感できると思います。

Flatgeobufを作成するには、QGISで既存のレイヤエクスポートの際に形式に「Flatgeobuf」を選択するだけです。

Flatgeobufの書き出し

また、Flatgeobufファイルはgeojsonファイルの長所を引き継いでいて、属性項目名の文字数制限がありません。既存のデータファイルをシェープファイルに出力する際は、属性項目名が半角10文字に制限されてしまい使いづらいとの体験をされた方もおられるのではないでしょうか。

さらに、ここからがFlatgeobufの真骨頂です。

シェープファイルや、geojsonファイルは、データファイルをQGISで扱う際に、ファイルサイズのすべてをQGISが読み込んで作動しますので、例えば県単位の大きなデータをいくつも重ねて表示するには、相当のスペックのメモリを搭載したPCが必要となりますが、部分参照が可能なFlatgeobufファイルは、描画に必要な範囲の情報だけをファイルから取り出して表示します。つまり広く大きなファイルであっても、小さな範囲なら素早く描画するということです。QGISのレンダリングで表示できる縮尺範囲を設定しておけば、極めて快適に広範囲の地図を扱えます。

さらにさらに!!URL参照が可能なFlatgeobuf!!

URL参照の地図データといえば、ラスタタイルやベクトルタイルをイメージされると思いますが、なんとFlatgeobufファイルは、タイルのように分割しなくても、描画に必要な範囲のデータをURL参照して表示できます。

オープンデータカタログサイトなどでFlatgeobufファイルとそのURLを公開すれば、利用者はいちいちダウンロードせずに、公開ファイルをQGISに表示させることができます。

QGISでの読み込み設定は簡単です。
ベクタレイヤの追加ダイヤフラムでソース型の「プロトコル」をチェックして、Flatgeobufファイルが置かれたURLを指定すれば完了です。

Flatgeobufの読み込み

役所や事務所などの閉ざされた環境においてもURL参照で共有できれば、職場内でFlatgeobufファイルを共有できます。URL参照の場合は、元データの編集はできませんが、図形の表示設定はユーザー毎に設定できますし、レイヤエクスポートでレイヤをローカルにコピーできます。

職場内でGISファイルを共有したいけれど「共有でデータが編集されるのは困る」とか「コピーが沢山作られるのも嫌だ」という方、FlatgeobufのURL参照での職場内共有は如何ですか。

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