QGISに関するコラム,朝日航洋の働き方などをご紹介 | 朝日航洋 | QGIS プラグイン「陰陽図メーカー」と GIS で使える陰陽図 公開！

この度，陰陽図をつくれる QGIS プラグイン陰陽図メーカーを開発しました。さらに，GIS で使える日本全国の5m解像度の陰陽図ラスタデータを公開しました！

この記事では，陰陽図とこの2つのコンテンツについてお伝えします。

陰陽図とは

陰陽図（いんようず，IN-YOU-ZU ）は，地形の凹凸を直感的かつ詳細にとらえられるようにした地図です*。 このような微地形表現図は，多くの企業や団体によって開発されていますが，それぞれ違ったよさがあります。ここでは，陰陽図のポイントを3つ，簡単に紹介します。

Point 1. 誰でも地形を読める

等高線から地形の起伏を読むのには少しコツが必要です。陰陽図は直感的に立体でとらえられるので，地形図を読むのが得意でない人にも使えます。

Point 2. 2色の表現でより地形がわかる

単に地形を立体的にみるのであれば，QGIS の標準機能で作成できる陰影図でもいいのでは？ と思うかもしれません。しかし，陰陽図は周囲の地形より出っ張っているか，凹んでいるかを赤系から青系へのグラデーションで表現しています。そのため陰影図のような1色で表現された地図より情報量が多く，詳細に地形がわかるのです。

Point 3. 場所ごとの調整でどこでもくっきり

陰陽図は陰影図と地形の凹凸で構成されているので，少しラスタの扱いにくわしい方なら似たものをつくれるかもしれません。ただ，地形をきれいに見やすくつくるために重要なのが，色調や陰影の強さの調整です。
たとえば，山地に合わせパラメータでつくると平地の起伏が目立たなくなったり，対象範囲に極端な急斜面があるため他の凹凸がほとんど同じ色になったりします。場所ごとに地形に合わせて作成パラメータを調整し，どこでもくっきり見えるのが陰陽図なのです。

QGIS プラグイン「陰陽図メーカー」

このような地形を見やすくするための陰陽図を，簡単につくれるようにしたのが陰陽図メーカーです✨
インストールから使い方までを解説します。

インストール

朝日航洋のプラグインリポジトリから取得するため，リポジトリを QGIS に登録したうえでインストールします。
1. QGIS を起動し，プラグイン ▶ プラグインの管理とインストール
2. 設定 タブ ▶ 追加 ボタン
3. 名称：aeroasahi（何でも可），URL:
https://www.aeroasahi.co.jp/qgis/plugins.xml
と入れて，OK
4. 全てのリポジトリのリロード ボタンをクリック
5. 全てのプラグイン タブ ▶ 検索欄に「inyouzu」と入れて絞り込む
6. Inyouzu Maker を選択 ▶ インストール ▶ しばらく待つ
7. インストールが完了したらプラグインウィンドウは閉じる
インストールが成功すると，プロセシングツールボックスに表示されます。

DEM の準備

陰陽図は DEM（Digital Elevation Model，数値標高モデル）という形式のデータを元につくります。これは各ピクセルが標高の値を持ったラスタ（画像）データです。
国内であれば，国土地理院 基盤地図情報 数値標高モデル（外部リンク）を使うのがおすすめです。それを QGIS で使うには，基盤地図情報 標高DEMデータ変換ツール（外部リンク，株式会社エコリス様 Webサイト）を使いましょう。何かお手持ちの DEM がある方はそれを使うこともできます。

陰陽図メーカーを使う

1. 用意した DEM（上記のツールの場合は merge.tif ）を QGIS にドラッグ＆ドロップ等で読み込む
2. プロセシング ▶ ツールボックス > Aero Asahi Corp. を開き，IN-YOU-ZU Maker をダブルクリック
3. Input DEM layer: 先ほど読み込んだ DEM ▶ OK
4. 少し待つと IN-YOU-ZU というレイヤができる

本ツールは無償公開版のため一部機能が制限されていますが，それでも山地と平地を判別して強調の程度を変える等，高機能なつくりになっています！
くわしい仕様はコンテンツをご参照ください。
 

※ 陰陽図メーカーの利用条件 陽図メーカーを用いて作成された陰陽図（以下陰陽図）のご利用、もしくは陰陽図を用いた二次成果物を作成される場合は下記の利用条件をお読みいただき、同意くださいますようお願いします。 ＜利用条件＞ ・陰陽図に記載されているクレジット表記を削除することを禁じます。 ・陰陽図、もしくはその二次成果物を画像データ等で直接販売することを禁じます。 ・陰陽図を用いて作成された二次成果物には当社クレジットの表記をお願いします。 （掲載例：この地図は朝日航洋（株）提供の陰陽図メーカーを用いて作成しました。） ・陰陽図メーカーのご利用に伴う損害に関して当社は一切の責任を負いません。 ご不明点に関しては、下記問い合わせ窓口までお問い合わせください。 本件に関するお問合せ先 朝日航洋株式会社 営業統括部 TEL 049-244-4817

日本全国の陰陽図 公開！

プラグインをインストールしたり，DEM を用意するのはどうも……という方には，作成済みの陰陽図を用意しました。

陰陽図 - G空間情報センター（外部リンク）

基盤地図情報 数値標高モデル 5mDEM を 10mDEM で補完し一次メッシュ単位で陰陽図のラスタデータにしたものです。ダウンロードして QGIS にぽいっとドラッグ＆ドロップするだけで使えます。画像ビューアソフトで見るだけでも楽しいです（個人の意見です）。
しかも，クリエイティブコモンズライセンス 表示-非営利-改変禁止（CC-BY-NC-ND）なので，非営利目的でデータを改変せずに使う場合は，朝日航洋の出典を明記すれば自由に使えます。さまざまな場面でご活用ください♪

おわりに

今回は，陰陽図メーカーと陰陽図ラスタデータについて紹介しました。陰陽図を見て，地形に興味を持ったり，土砂災害の予測など防災に役立てたりしていただけると幸いです。現在，鋭意作成中の陰陽図タイルも，完成次第お知らせいたします。
もっと高解像度な陰陽図がほしい，大量の図郭でシームレスに一括作成したい，凹凸のスケールを変えたい 等，さらに本格的な陰陽図をお求めの方は，ぜひお気軽にお問い合わせください💚

・2020.10.02 CC-BY-NC-ND ライセンスがオープンデータの定義と矛盾していたため，「オープンデータ」の表記を削除しました。お詫び申し上げます。
・2020.10.20 「陰陽図メーカーの利用条件」を記載しました。

* 陰陽図は，朝日航洋株式会社の特許「立体画像作成装置」を用いて作成した商品です（特許第 4379264 号）。

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